『キャズム――ハイテクをブレイクさせる「超」マーケティング理論』 ジェフリー・ムーア=著/川又政治=訳/翔泳社/2002年1月(『Crossing the Chasm: Marketing and Selling High-Tech Products to Mainstream
社会学者のエベリット・ロジャースが生み出した理論に、イノベーター理論というものがあります。
商品やサービスが市場にどのように普及するのかを示したものです。
今回は、イノベーター理論と、この理論を語る上で外せないキャズム理論について紹介します。
イノベーター理論について
イノベーター理論では、商品やサービスが市場に普及する過程で、顧客は5つのタイプに別れると言っています。
5つのタイプを、それぞれを話していきます。
1.イノベーター(革新者)
イノベーターとは、新しいものが好きで積極的に試してみる人たちのことです。
最新のものだけでなく、情報の関心も高い人たちです。
市場全体の2.5%を占めていると言われています。
2.アーリーアダプター(初期採用者)
アーリーアダプターは、イノベーターの人たちよりは積極的でないが、新しいものや情報には敏感です。
他の消費者に対して、強い影響力を持つことが多く、「オピニオンリーダー」とも呼ばれています。
全体の13.5%を占めています。
3.アーリーマジョリティ(前期追随者)
アーリーマジョリティは、新しいものや情報に対して、比較的慎重ではあるが、平均よりは早い時期に商品やサービスを購入する人たちのことです。
商品やサービスを市場に浸透させる役割を持っています。
全体の34.0%を占めています。
4.レイトマジョリティ(後期追随者)
レイトマジョリティは、新しいものに対して懐疑的であり、アーリーマジョリティより、さらに慎重派です。
新商品やサービスは、周囲の大多数の人間が使用していることを確認してから購入に至ります。
全体の34.0%を占めています。
5.ラガード(遅滞者)
ラガードとは、商品やサービスがすっかり一般的になるまで、購入を控える人たちのことです。
最新情報などに疎く、変化を好みません。
全体の16.0%を占めています。
キャズム理論について
キャズムとは「深い溝」という意味です。
アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間には深い溝があると言われています。
ここで客層が大きく異なるため、商品やサービスが市場に普及する上で簡単に超えることができなくなるのです。
この理論を「キャズム理論」と言います。
そして、溝を超えられない商品は一般的になる前に、消えてしまいます。
キャズムを超えるには?
まず、イノベーターとアーリーアダプターへの宣伝を強化する必要があります。
この2つのタイプは、「普及させる力」を持っています。
加えてアーリーマジョリティへのアプローチにも力を入れてください。
アーリーマジョリティは「新しさ」よりも、みんなが使っているという「安心感」を求めています。
具体的には、テレビCMや販促キャンペーンなど、大多数の人に向けた戦略が効果的ですね。
まとめ
いかがでしたか?
イノベーター理論とキャズム理論、それぞれの顧客のタイプについて、理解できたでしょうか?
レイトマジョリティとラガードの合計が半数も占めるというのは、驚きますよね!
新しいものに興味がない、懐疑的な人たちのことです。
新しく出た商品において、自分がどのタイプなのか、考えてみるのも面白いかもしれませんね。